人との信頼を、新たな価値の形へ。アイディアもPRも、全ては“面白がること”が原点!?

目次

  1. 正義感の強い、ちょっと悪い子ども時代
  2. 人生を変える、バンクーバーでの出会い
  3. 家族の未来の形を体現した、古民家シェアハウス
  4. 信頼が人を動かす「さかさま不動産」
  5. アイディアとPRは、“大喜利”と“欲望のグラデーション”
  6. 若い人に挑戦させるまちづくり

地方×若手×キャリアをテーマに、活躍する方へのインタビュー企画。第二弾は、株式会社On-Coの代表で空き家活用事業やPR事業などを手掛ける藤田恭兵さん。これまでの人生を振り返る「モチベーショングラフ」を書いていただき、キャリアの変遷についてグッと迫っていきます。

藤田恭兵(ふじた きょうへい)さん

株式会社On-Co 代表取締役。1992年生まれ、大口町出身。
2014年に合同会社Memotimeを立ち上げ、2015年に古民家シェアハウスFyumeを立ち上げる。その後2019年に水谷と株式会社On-Coを設立。生命的なスマートルームの開発、Web制作、動画制作、ライブ配信、ウェブマーケ、集客など会社のテクノロジー周りを中心に担当している。

フジコ

藤田さんとの出会いは、前回の古賀さんの取材時( https://dera-marketing.nagoya/media/interview/01.html )でしたね。取材当日に「TOUTEN BOOKSTORE」さんでイベントの準備をしていらっしゃって、「今度取材させてもらっていいですか?」ってお話していたら、実現したという…!(笑)改めて、よろしくお願いいたします!
早速モチベーショングラフと共に、幼少期を遡ってみたいと思います。子どもの頃から我道を歩んでいそうなイメージですが、実際はどんなお子さんだったんですか?

正義感の強い、ちょっと悪い子ども時代

こちらこそ、よろしくお願いします!
子どもの頃は、そうですね…ちょっとした悪さを、悪気なくするような子どもでした。学校指定の制服を着崩したり、友だちとちょっと悪いことを考えてみたり…。どれも悪気があったわけじゃなくて、純粋に「これをしたらどうなるんだろう?」みたいな好奇心でやってました。なんとなく、気持ちわかりますか?(笑)

藤田さん

オオシマ

僕はそこまで悪いことをできなかったですけど、気持ちはわかります(笑)男の憧れみたいなものかもしれないですね。
そうそう。そうやって悪いことをしていたら、ある日父親に叱られたんですよ。普通、やってしまった悪いことに対して叱るじゃないですか。だけど、うちの父親は違ったんです。「中途半端なことをするな!」って。それが自分の中で、かなり衝撃的な瞬間でしたね。とにかく中途半端なことが嫌いな父親で、“やるからには徹底的にやれ”という発想の人でした。他にも例えば、「めんどくさいな」って呟いたりすると、「めんどくさいって言うぐらいなら、すぐ死ね!」って言われたり(笑)口は悪いですけど、“死ぬかやるかの二択だったら、やるしかないな”って思えましたし、今の自分の行動にも繋がっている気がします。

藤田さん


フジコ

お父さんからの言葉が、ある意味今の藤田さんを支えているんですね。幼少期から徐々にグラフがあがっていますが、学生時代はどうでしたか?

悪いことをしたって話のあとで言うのもあれですけど、昔から正義感も強くて。特に小学生ぐらいの頃から、ゴミのポイ捨てをする行為がすごく嫌いだったんです。そうしている人たちを見かけては、「やめろ!」って注意していて。それで単純ですけど、“ゴミ捨てをやめさせるためにはどうしたらいいだろう?”って考えて、警察官になることを目標にしていました。進路選びの時に「警察官になるには法学部に行ったらいい」と聞き、名城大学の法学部に進学しました。けれどそこでふと、“自分は本当に警察官になりたいのか?”って悩むようになったんですよね。

藤田さん

人生を変える、バンクーバーでの出会い

フジコ

迷いなく進んでいらっしゃいそうなので、意外ですね!なんとなく、迷いがない人生を歩んでいらっしゃるイメージでした。
そんなことないですよ!(笑)大学生になってからはずっとバスケ漬けの日々で、将来に対するモヤモヤが続いていました。それでふと、バンクーバーへ留学に行こうと思い立ったんです。
結果的に、そこでの出会いが自分を大きく変えてくれました。自分の1個上という若さで、“発展途上国での飢餓をなくすことがしたい”って、楽しそうにイキイキと仕事をしている方に出会ったんです。“自分もこの人みたいにすごいことがしたい!”って、心底憧れました。その方から「人は誰でも、使命を持っている。藤田くんにもきっとあるはずだから、ゆっくり自分の使命を見つけていけばいいよ。」って言葉をもらって、それまでのモヤモヤがすーっと晴れましたね。何が使命かなんてすぐにはわからないから、興味のあることにチャレンジしよう!って、とにかく行動することにしたんです。バンクーバーにいる間は現地にいる日本人と繋がろうと思って、当時SNSが流行る前でしたけど、紹介してもらって、たくさんの日本人に会いました。
日本に帰ってきてからも、交流会や勉強に参加したり、とにかく行動を重ね続けました。そうしているうちに段々と、知識や能力が高まっていくことを感じて。新社会人向けの勉強会を開催したり、繋がり合えるコミュニティをつくったりしました。

藤田さん

バンクーバー留学時代のお写真

SNSが流行る前から、今の時代のような動きをしてらっしゃったんですね。モチベーショングラフも、バンクーバー留学で一回落ち込んでから、グングン上がってますね!

オオシマ

家族の未来の形を体現した、古民家シェアハウス

はい、ここからはグラフが上がり続けてます(笑)そのあとに始めたFyumeという古民家シェアハウスも、もともとは“事業をやろう!”って意気込んでいたわけじゃなくて、“みんなで楽しく過ごせたらいいね”なんて気持ちでスタートしたものなんです。その時ちょうど自分は22歳くらいで、シェアハウス経営は右も左もわからない状態だったので、いろいろな方に聞きに行って教えていただきながら、ゼロからつくっていきました。そんな中で、今一緒にOn-Coをやっているたけさん(水谷岳史さん)に出会って、LongRoofと合体したんです。

藤田さん


オオシマ

当時はまだシェアハウスが流行る前だったと思いますが、どうして始めようと思われたんですか?
僕はたまたま両親の仲があまり良くなかったことがあって、ある意味“理想とする家族像”みたいなものがなかったんですよね。それで人との繋がりに興味があって、“年齢や性別が違っても、一緒に暮らすことで家族のような体験をできるんじゃないか?”って考えたんです。「シェアハウスでの関係性が、今はまだ社会的には認められていないけれど、いつか未来の新しい家族の形になって欲しい」って願いを込めていました。月4万円の家賃の中で水道光熱費込み、飲食店と併設しているから食事にも困らない仕組みをつくったんです。

藤田さん



シェアハウス事業を行っていた当時のお写真

2011年からはじめて2019年までだったので、約8年間運営しましたね。最初は旅人やフリーランスの方が主な住人だったんですが、段々と人が増えるにつれて、運営でぶつかることも増えてきて。それでシェアハウス事業は手放して、次のチャレンジをすることにしました。

藤田さん

信頼が人を動かす「さかさま不動産」

フジコ

よく話題を耳にする、「さかさま不動産」ですね!

【さかさま不動産とは…】
物件情報が並ぶ不動産の従来型とは逆の、借り手の目標や想いが並ぶウェブサイト。
借主からアプローチを行い、合意に至れば各自で契約するという、まさに”さかさま”な発想の不動産マッチングサービスである。

フジコ

他の記事などで目にしている読者さんも多いと思うので、あえてさかさま不動産の詳細を伺うことは割愛したいと思います(笑)ズバリ、さかさま不動産として目指していることは何でしょうか?
「新しい経済のまわし方をつくること」ですね。今の世の中は物が流通して、そこに対してお金がついてまわっていますけど、よくよく“お金って必要だっけ?”って考えてみると、そうでもないことに気がつくんですよね。実際にあそこに置いてある車も人からのいただき物ですし(笑)例えば名古屋駅にある物件だって、「君たちだったら、月いくらでもいいよ」って言っていただいて、月3000円の破格で貸していただいている。こうやって考えていくと、そこには「信頼」っていう関係性が根底にあるんです。だとしたら、お金よりも信頼を価値に変える方法があるんじゃないか?って思っていて。
それを形にしているのが、今の「さかさま不動産」ですね。これをきっかけに、信頼を価値にする方法を模索していきたいと考えています。

藤田さん

言われてみると確かに、お金が本当に必要なのかわからなくなってきました(笑)藤田さんがつくる「信頼を価値に変える仕組み」、とっても気になります…!

オオシマ

アイディアとPRは、“大喜利”と“欲望のグラデーション”

フジコ

藤田さんに会ったらお聞きしたいと思っていたことがありまして。いつも「どうしてそんな面白いアイディアが思いつくんだろう?」って気になってました(笑)実際にどうやって考えていらっしゃるんですか?
僕、大喜利が大好きなんですよ。企画づくりは、大喜利をしているような感覚に近いですね。どんな社会課題を出されたとしても、“ああ、こんなフリがきたか!”って思って、“じゃあ、これでどうです?”って、相手に一本と言わせるような返しをしているような、そんな気持ちでアウトプットしています。
あとは、人と一緒のことをやらないことに貪欲になることですね。行政の方々に会う機会が多いんですが、髭面に短パンっていう僕たちのスタイルで行くので、「くそふざけてるね」ってよく言われます(笑)でもそれも、自分たちらしさの一つになってる気がしています。

藤田さん

フジコ

アイディアづくりは大喜利!(笑)形にしたアイディアをPRするときに、意識していらっしゃることはあるんでしょうか?
「欲望のグラデーション」を常に意識するように心がけています。ある時気づいたんですが、“◯◯したい”って欲望を満たすとき、人によってカロリーの消費量が異なるんですよ。例えばインスタ映えする画像など、目に入ってくる刺激はすぐに楽しめるものだからカロリー消費量が低いと考えていて。反対に、USJでハリーポッターのアトラクションを楽しもうと思うと、行動が伴うのでカロリー消費量は大きいですよね。こうして考えると、いきないカロリーの高いアクションをとることは難しいので、“いかにカロリー消費量の低いところから欲求を満たしつつ、高いところまで消費してもらうか”が大切なのかなって考えてます。

藤田さん

若い人に挑戦させるまちづくり

行政や地方自治体などと多くお仕事されていらっしゃる中で、“東海がもっとこうなったらいいな”と思うことはありますか?

オオシマ


もっと若者の挑戦を応援してくれるまちが増えたらいいな、と思いますね。東海地方は有名な企業さんも多いですし、この土地の持っているパワーってすごく大きいと思うんですよ。
数年前に実績もあまりなかった僕たちに期待して仕事を任せてくださった瀬戸市や一宮市、桑名市の方々には本当に感謝していて。そんなまちや大人がもっと増えて欲しいですし、自分たちも若い人たちにチャンスを与えられることは、どんどんやっていきたいですね。

藤田さん

フジコ

藤田さん、目から鱗のお話をたくさんありがとうございました!!

【「株式会社On-Co」】
代表取締役:水谷岳史・藤田恭兵
所在地:〒511-0851 三重県桑名市西別所 1375
事業内容:サービス事業
mail:support@on-co.co

HP: http://onco.xsrv.jp/
さかさま不動産: https://sakasama-fudosan.com/