「僕らはSNSでモノを買う」の著者が語る!ユーザーに届く、購買に繋がる『SNSマーケティング』

こんにちは!
でらマーケ勉強会広報担当のN村です。

2019年10月16日、でらマーケ勉強会Vol.3が開催されました。

今回はゲストとして、株式会社ホットリンクCMOの飯髙悠太さんをお迎えして、「ユーザーに届く、購買に繋がるSNSマーケティング」をテーマに開催いたしました。

開催レポート

0. 始まる前

当日18時半頃。

毎回恒例の納屋橋まんじゅうの差し入れと共に、会の受付準備。

ちなみにこの納屋橋まんじゅうの差し入れは、運営元のASUE株式会社代表の安江のこだわりです。
わたしは餡子が苦手なので食べられません。

広報のN村

スクリーンの前に何かが置いてある……???

広報のN村

これはまさか……!!!?

広報のN村

広報のN村

今回のゲスト、飯髙悠太さんの著書、『僕らはSNSでモノを買う』(出版元:ディスカヴァー・トゥエンティワン)だ!!!

※アフィリエイト等は仕込んでいないので、安心してこちらからお買い求めください。

ご紹介ありがとうございます……?

飯髙さん

今回もたくさんのお申込みをいただき、チケットが買えなかった!という方もいらっしゃったみたいです。
たくさんのお申込みありがとうございました!

1. そして、スタート。

ミヤタからのでらマーケ勉強会の趣旨の説明と挨拶の後、いよいよゲストのご登場です。

僕の本、読んでくれた方いますか?
結構いますね、帰って飲んだ方がいいです!

飯髙さん

飯髙さんの導入の一言で、笑いが起こる会場。

株式会社ホットリンクについて

ソーシャル・ビッグデータの研究と分析ソリューションの提供、ソーシャルメディアマーケティングにより、「ソーシャルメディアマーケティングのスタンダードを創る」企業です。(引用元:https://www.wantedly.com/companies/hottolink/about
日本で二社だけの、Twitter全データを購入して持っています。すごい。

最初に、ソーシャルメディアの本質を理解するための重要な概念8つを簡単にご紹介。

ソーシャルメディアを理解するための概念
  • UGC
  • ULSSAS
  • スモールストロングタイ
  • 指名検索
  • パーソナルメディア
  • 全体最適
  • 「1対n」と「n対n」
  • 三枚おろし

現在、SNSの利用者はとても増えていて、何かものを買うときにSNSを参考にする人の割合もかなり高くなっているそうです。

実際に、わたしも趣味の舞台のチケットを買うのに周囲が「とてもよかった……」と言っている作品は元々観る予定がなくても買っちゃうし、最近買った2万円くらいの双眼鏡(観劇用)は、友人の「これを使えば画質がDVDからBDに!」という謳い文句を元に購入しました。他にもインスタの広告からアクセサリーを購入したことをツイートしたら、友人から「わたしもそこの買った!」とリプライをもらったり。

もちろん、「これはNot For Meだったな」と思うこともなくはないけれど、周囲のSNSでの推奨行動って自分の行動にも影響しやすいなぁと感じます。

近年、GDPRなどによって、個人情報保護がかなり厳しくなっている……という現状がSNSやインターネットそのものを取り巻く環境の一つとしてありますが、ユーザーがそれぞれする口コミに関しては法規制の影響を受けていないため、SNS等での口コミは有用です。

しかし!!!

SNSの利用者は右肩上がりだし、ユーザーもSNSから購買を決めているけれど、「SNSを活用して売り上げが××××に増加した」「SNSで××××したら認知が上がった」という成功事例自体は非常に少ないんです。

飯髙さん

その理由としてあげられるのが、

企業のSNS活用が上手くいっていない原因
  • SNSをマーケティングの全体像の中で捉えられていない
  • SNSアカウントの運用がゴールになっている
  • SNSを企業の情報発信媒体としか捉えていない
  • 自社の特性に合ったSNS活用戦略/施策を選べていない

マーケティングの全体像の中の一部としてのSNSと捉えられずに「SNSはSNS」で単チャネル内での改善になってしまいがちです。
そうなってしまうと、小さい改善になってしまい、マーケティング全体に対するインパクトは小さくなります。

SEOからWebサイトへ、リスティング広告やGDN,YDNからWebサイトへ、SNSからWebサイトに誘導する……というWebサイト中心思考ではなく、「SEO、実店舗、SNS、広告、CM、オウンドメディア」などの様々なチャネルを組み合わせてブランド中心の全体最適の中でSNSを利用することが大切だそうです。

陥りがちなマーケティング例1
短期的な施策でリスティング広告やディスプレイ広告などで最終コンバージョン(=CV  ex.購入や契約成立など)やCPA(コンバージョン単価)に対して最適化を行うことは、効果がないわけではないけれど長期的な目で見ると先細りしていきやすい。(獲得単価の高騰やマーケティングROIの低下)

⇒短期の最終CV施策だけではなく、Attention(認知)施策も大切

陥りがちなマーケティング例2
Attention(認知)施策は行っているが、質が低い。フォロー&RTキャンペーンなどは、フォローRTには確かに繋がって認知施策にはなる(数字も見やすい)が、実は大半が”懸賞アカウント”だったりすることもあり、良質なアテンションとは言えない。

⇒実際に使用した人たちがたくさん口コミをしてくれるような良質なAttentionを獲得しよう!

質の高いAttention(認知)を獲得できれば、認知層の母数が広がり結果として最終CVも広がります。

飯髙さん

2. UGC(=User Generated Contents)の話

最初にご紹介した本を読まれた方はUGCがなんなのか、というのはご存知だと思います。
UGCというのは、ユーザーが実際に商品を使用したりサービスを利用した感想などをインターネット上に投稿した「ユーザーが生成したコンテンツ」です。そのままですね。

この言葉自体は2000年頃にできたものだそうで、例えば食べログやアットコスメのようなサイトに掲載される口コミ・レビューもUGCです。

今回のセミナーでは、「SNSでのUGC」についてをお話でした。

さて、なぜUGCが重要なのか、というと理由は3つあります。

UGCの重要性
  • 情報の信頼性が高い
    ⇒情報量が多い現代、信頼性が高くないとそもそも見てもらえない
  • 行動転換(態度変容)が起こりやすい
    ⇒認知だけでなく、その後の購買や推奨などのユーザー行動まで動かすことができる
  • シェアされやすく、多くの人に届く
    ⇒企業の宣伝に貢献したくてSNSをやっている人はいないので、UGCはユーザーの共感を生んでシェアされやすい

現在、Googleが認識しているページは130兆ページあるそうです。
途方もない数で、いくら暇を持て余してもすべてを見切ることはできないでしょう。

そうなってくると、人は信頼性の高そうな情報を選んで見ることになります。
信頼性が低い内容はそもそも見てももらえない、ということですね。

さて、例えば主に女性で何か化粧品を買いたい!ってなったとき、「おすすめのファンデーション知らない?」って友達に聞いたことはありませんか?
わたしは聞いたことも聞かれたこともあります。そういうのを聞いて購入することもありますよね。

実際に、「購買決定への影響力が最も高いのは、家族・友人・知人からの推奨」だそうです。

なので、口コミで紹介されるブランドをつくることも重要です!

飯髙さん

広報のN村

……確かに、定価2万以上もする双眼鏡なんて周りの友人たちが薦めなかったら買わなかった……

また、UGCには二つのパターンがあります。

UGCの文脈
  • 製品・サービスに関する内容
  • コミュニケーション(接客など)に関する内容
不動産系の商材だと、製品やサービスについてのUGCは生まれにくいけど、「対応が良かった!」というようなコミュニケーション文脈でのUGCが生まれる可能性があります。

飯髙さん

また、情報伝播についても留意する必要があります。

SNSが発達する前は、情報を見た人だけに届く情報伝播が普通でしたが、SNSが発達した今では情報を見た人が自分でも発信したりそれを拡散する人がいたり……と、通常では届かなかったところまで情報が伝わるようになったりします。

既存のSNSアカウント運用の考え方:1対nの情報伝播の発想

投稿のインプレッションなどに着目したり、フォロワー数に重きを置きがち。

でも、そもそも「(自分がファンなわけでもない)企業の投稿からモノを買う」のか??

企業アカウント中心からUGCを中心にする考え方:n対nの情報伝播の発想

自然発生的に広がっていくUGCを利用して(ex.リツイートなど)、UGC拡散を最大化させる。

企業がこれ!と思ったセールスポイント以外に、ユーザーが良いと思った点を発信してくれる可能性があるし、一つの商品に対して感想は様々なので、それを上手く利用するとよい。

SNSにしてもサイトにしても、企業アカウントから「不特定多数の多くの人に届けよう」という考えで発信すると、逆に二次的な拡散などに繋がりにくいので、具体的にこういう人に届くといいな!という考え方でそういう人に刺さるような発信を行ったり、そういう口コミ投稿を拡散したりすることで、多くの人に届きやすくなります。

広報のN村「図を描いてみた」

そういえばある洗剤が虫の退治に使いやすい!ってバズって、Amazonのレビューが軒並みその用途についての感想になってるのを見たことがありますね……。

企業が求めた使われ方ではないけど、あれもUGCだし虫が苦手、退治できない!みたいな層に深く刺さったってことですよね。

企業の公式アカウントから”いいね”や”リツイート”があると、一般のユーザーは嬉しく思ったりします。

なので、口コミへの積極的なアクションはできるといいですね!

飯髙さん「雑……」

UGCはいわゆる「アーンドメディア」と呼ばれるものに入ります。
企業主体のオウンドメディアや広告主体のペイドメディアではなく、ブログ・SNS・口コミサイト・ニュース記事などの第三者の評判や言及の重要性が高まっていて、アーンドメディアを上手く利用することが企業のマーケティングの限界突破の鍵になる、とのことでした。

SNSを上手く運用しつつ、UGCを活かしてサイトにキャッシュポイントを置けば、口コミが増える⇒指名検索が増える⇒CVRの向上などに繋がります。
ここでは、UGCと指名検索や売り上げが相関関係にあるような実例のご紹介もありました。

UGCの理想的な増やし方は?「スパイク型」と「積層型」

テレビ等で取り上げられるなど、一気に注目を浴びて突発的にUGCが増える状態を「スパイク型」、丁寧に徐々にUGCが増えていく状態を「積層型」といいます。

スパイク型はいわゆる「バズ施策」で、認知の質が低いことも多く、購買へ繋がりにくくなります。一方積層型では質の高い認知で購買へと繋がりやすくなります。

また、SNSにはたくさんの種類がありますが、企業のSNS運用においてUGCの起点にTwitterをオススメです。
理由は拡散性が高くデータの活用もしやすいから。
インスタやFacebookを利用する層も多いですが、拡散性が低かったりデータ活用が難しい……という問題があります。

また、どのような方針で企業のSNSアカウントを運用していくか……の適性をみるための「三枚おろし」という概念についてもご紹介がありました。

三枚おろしについて

UGCも指名検索もある!

方針:早速SNSを活用して売り上げUPを目指す

施策の方向性:更なるUGC創出のためのアカウント運用、UGC活用

UGCはないが指名検索はある!

方針:UGCを出せそうならSNSを活用

施策の方向性:シェアされる経営、シェアされるアカウント運用

UGCも指名検索もない!

方針:UGCを促すためにはコンテンツとコストが要る

施策の方向性:コンテンツ制作

3. ULSSAS(=UGC, Like, Search1, Search2, Action, Spread)

ここでいよいよULSSASの話へ。

端的に言うと、良質なUGCが発生すると、そこからどんどん購買や拡散などに繋がってくよ、というものです。

ULSSAS、本とかも読んで知ってはいたけど、改めて話を聴きながら、わりとこんな感じで動いてるから掌で転がされている感がすごいな、と思いました。
このULSSAS、もちろん単純にUGCが発生すれば自動的に回りだす夢のような装置……というわけではなく、上手くこのサイクルを回していくにもコツが要ります。

ULSSASを回すコツ
  • フォロワーの質を変える(質の高いフォロワーの確保)
  • UGCを発生させるしかけ(アカウント運用)

さて、ULSSASを回すコツの一つ「質の高いフォロワー」って何なんでしょうか?

メインアカウントのフォロワーがツイッター経由の知り合いが大半でツイ廃を自称するわたしは戦慄したんですけど、Twitterに限らずどのSNSでも、同じ人(=プライベートの知り合い)としか繋がっていない人が大半だそうです。

えーうっそー!?身バレ防止しようとしたりとかみんなしないの!?リアルで会った人とインターネットで会っちゃいけません!じゃないの!?

広報のN村

そして、Twitterはクラスタをこえないので、有名芸能人のアカウントのようなインフルエンサーアカウントでフォロワーがとても多くても、見てない人は見てない……。

インターネット全体から見るインフルエンサーは有名芸能人のアカウントかもしれないけれど、自社にとってのインフルエンサーは「リツイートと商品をくちこんでくれる可能性が高い人」になるそうです。

最初の方でもお話した通り、友人知人家族の推奨行動は人の購買行動に影響しやすいので、

質の高いフォロワーとは
  • プライベートグラフ/ソーシャルグラフでTwitterを活用している
  • ツイート数が多い

こういうアカウントこそULSSASを回すのに良い質の高いフォロワーといえる可能性が高いです。

プライベートグラフの中でツイート数が多い人は発言力が強い人の可能性も高いので、そういう人のUGCは企業からかなり有用な可能性が高いです。

飯髙さん

上手く情報が拡散されたり、口コミが増えたりWebニュースに取り上げられたりしながら良質なAttentionを獲得し、UGCを発生させ信頼度の高いコンテンツを量産して、広告を活用せずともターゲットに情報を届けられるサイクルを作れるといいですね!

そうすることで、最終的にはCV/売上につながり、ROIの改善まで可能になります。

ここで、紹介されたのがシャトレーゼさんのTwitter活用事例。
事例の詳細は冒頭でご紹介した飯髙さんの著書内でも紹介されています。


参考
【Twitter活用で売上4倍の事例も】シャトレーゼが挑んだオーガニック運用で口コミを増やす仕組みMarkeZine


参考
シャトレーゼの口コミ数が2年で8倍になった訳President online

いいコンテンツ=いい商品、いいサービス。SNSはそれをどうデリバリーするか、の部分。

商材によって向き不向きはあるけど上手くULSSASをまわすマーケティングへ転換できるといいですね。

飯髙さん

そしてちょっとお洒落な最後のスライドで飯髙さんのお話は終了でした!

4. SNSアカウント運用相談コーナー(質疑応答)

ミヤタアヤノ

たっぷり40分ほど、質疑応答の時間を設けました!

例えば1時間に1ツイートとかだけなら、フォロワーのTLも動くからそんなに問題ない。

もちろん、フォロー外したりミュートしたりに繋がることはあるけど、何か(RT)をしたら何かを失う、くらいに見ていればOKです。

UGCが生まれるためには、まずプロダクトを買ってもらう必要がある。なので、最初はまず売るためのマーケティング施策からスタートすることになります。

ある程度買ってもらえるような状態まできたら、UGCを生み出すしかけを考えたりUGCを自分で拡散したりが有用だけど、最初はSNSでも買ってもらえるような発信していく必要があります。

商材によって、どうしても口コミが生まれにくいものはあるが、それでもUGCが欲しい場合は「コミュニケーション文脈」を狙っていく必要あり。そういうUGCが生まれそうなコンテンツを制作するなど。

(この後、実例の話でオフレコ……)

新卒採用で利用するのは難しいかも。他のこと考えたほうがいい。

シャトレーゼ、かつやなど。かつやは社長が上手い。

ユーザーに「どうすれば真似てもらえるか」を考えている。

クオリティが高すぎると真似してもらえないのでシンプルに、コンテンツは水物だから忘れられるのも早いし、考えていると次の投稿ができなくなるので失敗してもいいから最低5ツイートはしてほしい、と伝えています。

運用……という面で考えると、俗人的にはなりがち。有名な企業公式アカウントとか、どれもそうだと思う。

社内でのコミュニケーションとかを考えると、その人がいなくなったときに与えるインパクトは大きい。

炎上とかでなくネガティブな意見は特に対処できない、と思っている。万人にウケる商材やサービスは基本ない。サービスや商材をネガティブな意見に合わせたら、今度は別の2割がネガティブな意見を言うと思う。

グラレコ風まとめ

ミヤタアヤノ

ということで、今回もグラレコ風のまとめをデザイナーのナナミチが描いてくれました!

 

ナナミチ

修正しました!

ストパーかけられた……!?

飯髙さん

次回、12月に開催が決まっておりますので、詳細は追って発表いたします。
テーマにご興味を持っていただけた際には、ぜひ参加いただけますと嬉しいです。

ミヤタアヤノ

飯髙さん、本日はどうもありがとうございました!!!